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発表!「第10回オイド短編映画祭」受賞作品

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昨年11月末に開催された「第10回オイド短編映画祭」
お待たせしました、ようやく各賞発表です。
今後の運営につながる選考を丁寧に続けた結果、
どうにもこうにも時間を必要としてしまいました。
権威や堅苦しい縛りとは無縁のオイドゆえ、どうかご容赦を。


第10回オイド短編映画祭 各賞

作品賞 該当作なし

監督賞 磯部鉄平
      「真夜中モラトリアム」「ユニバーサル・グラビテーション」

特別賞
 制作部門 「ドラゴン危機一髪Retribution」
 演技部門 澤田和宏(「冬が燃えたら」)

奨励賞
 「ぶきっちょ」山田賢司・遠藤健一
 「少女性の喪失」松本剛



総評
カンヌでもサンダンスでも、はたまたオイドでも、表彰のタイミングはいつも大騒ぎです。
(映画祭での顕彰は、決して公平無私なものではありませんが…)
賞に踊らされ振り回されるのは至極簡単なこと。主催側の時々の意図の表現として「各賞」を
捉えていただけるのなら、話は随分とわかりやすくなると思うのですが…

と、いう訳で、記念すべき「第10回オイド短編映画祭」作品賞は、なしです。
参加作品全体のレベルが向上し、評価が平均化してきたが故か、
あるいは、映画祭が短編作品の質的飛躍、エラン・ヴィタールを求めるが故か、
今回参加のクリエイター、これから参加してくる作品たちの現在と未来に、
その答えを託したいと思います。



監督賞
270104真夜中モラトリアム  「真夜中モラトリアム」
270103ユニバーサル・グラビテーション  「ユニバーサル・グラビテーション」

関西を拠点にパワフルに活動する、磯部鉄平に監督賞を贈ります。
カットバックの機能を存分に生かして、青年期のミステリーを活写した「真夜中モラトリアム」
さりげない日常の先にある終末を描く「ユニバーサル・グラビテーション」
ともに充実したチーム力が作品の力を押し上げていました。
監督・磯部鉄平を起点に、小さな島国・日本を軽やかに動き回りながら、
世界を相手に戦える良質な短編たちと、中・長編作品へのさらなる挑戦を期待して、
監督賞を贈ります。



特別賞
IMG_0599  「ドラゴン危機一髪Retribution」

特別賞の枠は、意識的にフレキシブルな評価を行うものとして機能してきました。
今回、授賞は2組。
まず、「ドラゴン危機一髪Retribution」を中心とした、
高い志をもつクリエイターたちに制作部門の特別賞を。
その中心となったのは、偉大なるブルース・リーへのたぎる想いに突き動かされた
監督・主演の蒲原友明ですが、麻衣阿、淺野潤一郎らの出演者、そして
尾澤修、清水一成、岩木伸夫など、他作品にも濃厚な爪痕を残す
クリエイターたちの存在抜きにしては、この快作は成り立たなかったでありましょう。
結合したその志によって、「ドラゴン危機一髪Retribution」は、「ごっこ」などではなく
ソクラテスのシビレエイのごとく、他者をも震わせるエナジーを身にまとっている、
と指摘しておきましょう。



250107冬が燃えたら  「冬が燃えたら」

特別賞、もう一組は、碧い髪のお兄さん、「冬が燃えたら」の主演・澤田和宏に。
各地での「冬が燃えたら」の評価について異論はありませんが、
(親子関係を確信するまでに時間がかかってしまう、という点はさておいて。)
全編台詞なし、言葉は主題歌のみ、短編ならではのキレのある構成の中で、
この“雄弁なる無言”の若者は、従来のオイド的アプローチとは一線を画す、
演技者から切り込む短編作品評価という、また新しい視点をもたらしてくれました。
網走の白く寒い空間によく映える碧い髪は、
表現者としての澤田和宏の澄んだ意志を表明しているように思えてなりません。
彼が世に羽ばたいていくプロセスを目の当たりにする、このワクワク感を
この授賞に託したいと思います。



奨励賞
ぶきっちょ_02  「ぶきっちょ」

奨励賞の1組目は、「ぶきっちょ」山田賢司・遠藤健一に。
兵庫県で地域振興ムーヴメント「アイオイチャンネル」を展開するプロデューサー山田賢司と
謎の助監督養成機関から送り込まれた手練のモノ、監督・遠藤健一が生み出した
愛すべき一本「ぶきっちょ」。
タイトルとはうらはらに、軸足のしっかりしたナニワ人情喜劇が、
ゲストスターの宮地真緒をはじめ、魅力的なキャストによって描き出されます。
ここでは、小規模ながら「正しいプロフェッショナリズム」が行使され、
日本のインディペンデント作品が陥りがちな、逃げの一手としてのアマチュアリズムは
微塵も存在しません。(あまり深く論ずるスペースがないので、詳しくは稿を改めますが…)
オーディエンスへ尽くすべき誠意としての技術=プロフェッショナリズムであります。
正しい技術を正しく行使することの心地よさを、思い出させてくれる作品でした。



270107少女性の喪失  「少女性の喪失」

奨励賞の2組目「少女性の喪失」松本剛。
ちゃんと作者の手元にある映画、それこそがインディペンデント作品最大のアドバンテージです。
少年のファンタジー、少女のファンタジー、そして大人のリアリティー。
ネット上の動画を介したコミュニケーションといった今時の枠組み。
よく制御された色調。土地の空気感。
ピーター・ウィアー「ピクニックatハンギング・ロック」など、作者が
インスパイアされたであろう作品たちに思いを馳せるのも楽しい。
監督・松本剛が次にどう進むのか、どこをどう強くしていくのか、
インディペンデント作品を創っているうちに、丁寧に鍛錬していって欲しい、
そんな期待値込みの顕彰です。




第10回映画祭に参加した作品、それぞれに創られた意味があり、また寿命もあります。

いつも映画祭で言うことですが、「賞をあげることで前に進める」時は賞を出します。
「賞を出さなくても頑張れる」時は別に出しません。
すべての参加作品、クリエイターの「点」ではなく「線」を、オイドは見つめるつもりでいます。
そのために年2回のペースで開催し、「アンノウンシアター」という拠点も稼働させているのです。

それがハリウッドメジャーであろうと、アジアの片隅のインディペンデントであろうと、
映画を創ることはとても手間のかかる作業です。嫌になってしまう事との戦いです。
プロフェッショナリズムとアマチュアリズム、考え始めると、とても厄介なテーマです。

ただ、忘れないでいたいのは、映画に触れる事で、心が震え、心豊かになる人がいる限り
創る技能を身につけた私たちには、ある意味での責任があるのかも知れないという事です。
必要なのは、やはり情熱、でしょうか。

オイドとの出会いが、映画創りの情熱の炎に、マキをくべる事になるよう念願して止みません。
「第11回オイド短編映画祭」で、またお会いしましょう!

2018年3月14日 オイド短編映画祭 ディレクター/キュレーター 丸山大悟
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