COLUMN コラム「真夜中のサーリング先生」

第1回「真夜中の招待状´87」

1987年、今となってみれば、時はバブル真っ盛りの頃。
「ニューメディア時代」なんて言われ方で、映像の受け皿が一気に広がった時代—–

ケーブルや衛星波に対抗してか、地上波は「24時間放送」を標榜して、(まだ見る人がついていけた真夜中の時間帯で)深夜枠の編成に本腰を入れ始めます。

(こと映像に関して、この国の業界は受け皿を作ることは大好きですが、実際に作られるものについては、常に後回しになってしまいますね)

某東京の放送局TBSの深夜枠は、過去の名作の再放送。
わざと部屋の明かりを消して、まるで真夜中の秘め事のように画面に見入ったものです。
「ウルトラ」シリーズなども、筆者はここで再発見したのですが、ある夜、「魅惑のアメリカTVシリーズ」と題されたプログラムに出会います。

SONY Betamax F-11から直接音声信号を入力されたミニコンポのスピーカーから聞こえてきたのは、マンハッタン・トランスファーのあのヒット曲のイントロ。

そしてSONY トリニトロンカラーモニターPROFEEL20型に映し出されたモノクロ画面の真ん中に、その人は立っていました。

スーツ姿でキメた精悍な顔立ちのThis is アメリカ人、時に片手をポケットに突っ込み、リラックスした雰囲気で、不思議な物語たちのホスト役を務めるその人こそロッド・サーリング Rodman Edward Serling傑作アンソロジー「ミステリー・ゾーン The Twilight Zone」のクリエイターであります。

サーリングその人についてや、後世の作り手たち(筆者含む)に与えた絶大な影響、そして毀誉褒貶などは、おいおいと語られていくとして。

「ミステリー・ゾーン The Twilight Zone」(以下「TTZ」と略します)は30分番組、つまり本編尺25分程度のフォーマットで製作されました。
(第4シーズンのみ例外的に1時間枠。最終第5シーズンで元の30分枠に戻った)

時間の制約のなかで、何を描き、どう表現していくか…緻密な構成と、あっと驚くどんでん返し。
短編の作法を網羅したような、モノクロ映像の中に、大いなる示唆と知恵が刻み込まれていると、その時直感したものです。

なーんて言っても、堅苦しい理屈をブつつもりは毛頭ありません。

真夜中に出会ったTTZで、最も印象に残っているシーン、それは時空を漂流することになってしまった主人公たちが旅客機33号のコクピットから目撃する光景——
はるか昔のマンハッタン島を闊歩するブロントザウルスの姿だったりするのですから。
(つづく)

O!!iDO短編映画祭 キュレーター 丸山大悟




ニューメディア:
NTT当時の電電公社その他が仕掛け、80年代大流行りで使われ始めた文字通りの「新しい媒体」たち。死に絶えたもの多数、生き残っているのはケーブル局、衛星局、文字放送、ファックスなど。結果的に現在のITシステムに吸収されてしまったものも多い。レーザーディスクプレーヤー、持ってました。

SONY Betamax F-11:
もっさりした外観が特徴的だった家庭用VTRに、変革をもたらした名機。キャッチコピーは「8cmビデオ」(8mmビデオぢゃありません)つまり全高が8cmしかない。発売された時は、そりゃあ驚いたものです。大枚叩いて買いました。オプションのPCMデジタルプロセッサーまでは、さすがに手に入りませんでしたが。It´s a SONY。

トリニトロンカラーモニターPROFEEL20型:
1980年発売。我が愛機Betamax F-11の頼もしい相棒。グッドデザイン賞受賞のカッコイイやつでした。しかも頑丈。CRT LOVEです。

マンハッタン・トランスファー:
知る人ぞ知るアメリカのジャズ・ボーカル・グループ。ウェザー・リポートの名曲「バード・ランド」のカバーや、「ボーイ・フロム・ニューヨーク・シティ」など名曲多数。文中の「あのヒット曲」とは1979年「トワイライト・ゾーン」のこと。TTZのテーマ曲がイントロで使われている。筆者は彼ら彼女らのライブ映像をレーザーディスクで持っていて、繰り返し繰り返し見たのです。

マンハッタン島を闊歩するブロントザウルス:
「33号機の漂流 The Odyssey of Flight 33」第2シーズン_ep18 CMチャンス前のラストカット。真っ暗な部屋の中で「おお!」と声を上げた記憶があります。あたりまえですが、映像作品はビジュアルが命。
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